ホーム > 日外協の活動 > 非公開: 調査・研究 > 「障害のある子どもの教育に関する企業意識調査」(2007年)
日外協は独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所との協働で、「障害のある子どもの教育に関する企業意識調査」を「海外・帰国子女アンケート調査」と同時におこなった。これは同研究所教育相談部によりまとめられた調査報告の概要である。
国立特別支援教育総合研究所(NISE)教育相談部では、日本人学校における特別支援教育の進展に対する支援をおこなっており、東アジア地区の日本人学校を対象にICTを活用した特別支援教育の研究協議会を実施してきている。これまで、教育相談部では日本人学校に特別な教育的ニーズがある子どもの実態や指導・課題等について調査し、夏期教育相談の実施等の支援策をおこなってきた。今回は、社団法人日本在外企業協会の協力をいただき、海外に社員を派遣している企業の担当者が特別支援教育をどのように理解しているのかを明らかにする目的で調査をおこなった。
「「特別支援教育」ということばを聞いたことがありますか」という問いに対して、「聞い たこともあるし、その内容も知っている」は18件(17%)だった。「聞いたことはない」は、半数近い51件(47%)の回答で、「特別支援教育」ということばの認知度は低い。
図1.「特別支援教育」について
「障害のある子どもを帯同して赴任する際に、社員から相談を受けたことがありますか」という質問に対して、「相談があった」19件(17%)、「相談なし」90件(83%)であった。「相談なし」の回答には、「そのような事例がない」の回答も含まれている。「相談有り」の場合、以下の5つの内容から選択する回答を求めた。(複数選択あり)
図2.障害児を帯同して赴任する際の相談
「障害のある子どもを帯同することをあなたはどのように考えていますか?」という設問に5つの選択肢から回答を求めた。複数回答もあったが、「2.可能な限りの支援は行うが、基本的には個々人の意向に任せる」が最も多く、半数以上の回答者の考えであった。
「その他」に記述されていた3つの意見は、以下の通りである。
これらの意見は、状況を見極めその上で必要ならば、支援をしていくということである。選択肢の「3.現地での環境を考慮して、対応する」と近い意見かも知れない。
図3.障害のある子どもの帯同
「知的障害」「視覚障害」「聴覚障害」「自閉症」については、全員が聞いたことがあると回答していた。「肢体不自由」と「発達障害」については、10人前後の人が「このことばを聞いたことがない」と回答しており、その原因としては、「肢体不自由」ということばは、教育では使われることばであるが、社会では「身体障害」と言われていることが多いことによると考えられる。また、「発達障害」は、医学的な定義には示されていないこと、最近になって注目されてきていることによると考えられる。
また、「障害名を聞いたことがある」人の約8割以上の人は、それがどのような状態かを知っていた。「発達障害」は7割弱の人がどのような状態かを知っていた。しかし、障害のある子どもの教育については、30人弱の人が知っているにとどまった。「発達障害」に関しては、19人がその教育を知っているという回答であった。
このようなことから、企業の相談担当者は、障害名やその状態については、知っているが、その教育については、十分に知らないという実態が分かった。
図4.障害名や教育について
「日本人学校における特別支援教育の推進を支援しています。あなたはどのような情報や資料があると役に立つと思いますか。」という質問に対して、自由記述での回答を求めた。回答内容は、以下の大きく5つのまとまりに分けることができた。これらについては、実行できるところから、おこなっていきたいと考えている。