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インドネシアのアンニサさんは漫画家を目指すインドネシア大学日本語学科の3年生です。八重洲ブックセンターに行った時、漫画練習帳を買っているのを見かけました。漫画家になる夢は本当なんだなと思った瞬間でした。
「生きるということは、夢を求めて、頑張ること」と素敵な言葉を私たちに残してくれました。
もうひとりのインドネシアのリスキーさんのスピーチ・テーマは、「言い訳はやめよう」でした。時間の大切さを訴えていたリスキーさんに、今一番時間を使っているのは何かと聞くと、「勉強です」と返って来ました。インドネシアの時間の観念もこのようなやる気のある若い世代によって、変わっていくような予感がしました。
タイのチャンペンさんは、少数民族のアカ族の出身です。貧しい家庭の子どもを「暁の家」という学生寮で支援している日本人・中野先生のことを紹介してくれました。このような活動をされている日本人がいることを誇りに思いました。自立することを教えてくれた中野先生を目指し、自身も恵まれない子どもの役に立つ仕事をしていきたいと言っていた彼女の目は輝いていました。
同じくタイのパーティーハさんは、スピーチの中で斧の柄に形が似たタイの南部3県での治安の問題を率直に説明し、そこに住んでいる自分たちや海外からの留学生は、平穏に暮らしていることを教えてくれました。彼女は将来、ガイドになって南部の3県を訪れる観光客を案内したいという夢を持っており、「斧の柄はまだ折れていない」と言って、自身の出身地に平和が戻ってくることを熱望していました。
フィリピンのカルロさんは、当たり前のようで実は深いイイ日本語の言葉として、「一緒に何々しませんか?」を紹介してくれました。内気で人と話すことが苦手なカルロさんにとって、この言葉は小学生時代に日本に両親と来て生活したときに発見した友達づくりのための深いイイ言葉だったんですね。カルロさんは、マレーシア代表のシュウさんの誕生日を覚えていて、ホテルのロビーで皆が集まっているときに、サプライズで誕生ケーキを持って来てくれました。心の優しい人ですね。
同じくフィリピンのルイージさんは、実際より老けて見られる悩みを、逆に武器にして日本女性と結婚したいそうです。今は彼女探しより日本語の勉強に打ち込みたいと言っている真面目な彼は、なかなかの二枚目です、きっとその希望を叶えることが出来るだろうと思いました。
ベトナムのドアンさんは、「毎日は人生がくれたプレゼント」という素敵な言葉を私たちにプレゼントしてくれました。小さな幸せ、すなわち周りの人の笑顔や支えといった小さなことが、私たちに生きるパワーを与えてくれること、それに気付くことが大切だと言っていました。しかし彼女は気持ちだけに偏ること無く、物質面も大切だと、バランスの取れた考え方ができる人でした。将来は良き母になりたいそうです。
マレーシアのレジナさんは、マレーシアに欲しい「日本にある2つのもの」を紹介してくれました。それは、カップラーメンとコンビニエンスストアだそうです。日本のカップラーメンは、とてもおいしくて量も種類も多く、お土産としていっぱい買って帰ったそうです。日本人にとって当たり前のカップラーメンも、このようにアジアの人たちに思われているのは誇らしいことです。コンビニエンスストアも何でも売っていて、何でもできる点を、高く評価してくれました。将来はマレーシアで日本のようなコンビニエンスストアを始めたい夢を語ってくれました。頑張れ! レジナさん。
同じくマレーシアのシュウさんは、「ヨガの魅力」を紹介してくれました。ヨガは肉体運動だけでなく、精神的な活動なんですね。発表の後、「私のような中高年の体が硬くなった人でもヨガができるのか」と聞いたら、「絶対にできますよ」と言ってくれました。しかし、我慢強く続け、諦めないことが決め手なんですね。
「ヨガは、一日にして成らず」ですね。
ブルネイのヌル・ハフィザさんのスピーチのテーマは、「われわれは ぎじゅつに いぞんしすぎて いますか」でした。彼女は、現在の我々は技術に依存し過ぎていると思っていて、技術に頼らなくてもできることは、機械やコンピュータに極力頼らずに、自身の手や足でやるようにしているとのことです。自然に恵まれているブルネイ育ちだからこその発想なのかもしれません。
ラオスのシーサワットさんは、スピーチの中で苦しかったラオスの田舎の小学校時代を、実体験として説明してくれました。今でもこの状況は変わらず、田舎に住んでいて勉強したくてもできない子どもたちのために、寄付を呼び掛けていました。自身も将来は、田舎の子どもたちのために働きたいという夢を持っています。
本当に頭が下がる立派な青年ですね。
優秀者の皆さんと接して感じたのは、皆、努力家で頑張り屋であるということです。もう1つ感じたことは、恵まれない環境の中でも学ぶ心を強く持ち、将来は自分の国や地域のために役立ちたい、そのために一生懸命勉強したいと強く思っていることです。彼ら、彼女らのこのような心意気が、現在のASEAN諸国の経済成長の大きな原動力なんだと実感した日本語スピーチ発表会でした。
(発表会コーディネーター:梶原喜代重(日本在外企業協会・業務部主幹))
※上画像・最前列中央が梶原主幹