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「海外安全対策」に関する
アンケート調査結果(2007年)

海外安全センターが実施した標記アンケート調査の集計結果がまとまりましたので、下記の通りお知らせします。

1.調査の趣旨
9・11テロ以降も、イラク戦争、SARS禍、スマトラ沖地震と大津波、マドリード・ロンドンでの同時爆破テロなど重大事件・事象が連続して発生しています。最近では鳥インフルエンザの人への感染から、人から人に感染する新型インフルエンザへの警戒感が高まってきています。一方、邦人を巻き込んだ一般犯罪も後を絶ちません。海外でのこうした厳しい治安情勢に鑑み、当協会・海外安全センターでは企業に対する啓発や情報提供活動に役立てることを目的に、企業の海外安全対策に関する実態調査をおこないました。この調査は、2年毎に定点観測的に実施しているものです。なお、今回は新型インフルエンザの流行が懸念されていますので追加してアンケートをおこないました。
2.調査方法
当協会会員企業327社(2007.4.1現在)のうち団体、研究機関等の賛助会員を除く265社の海外安全情報窓口に対し、郵送によりアンケート調査票を配布しました。各企業からはファクシミリによる回答をお願いしました。
3.回答記入者
上記企業の海外安全主務担当者
4.調査期間
2007年6月22日(金)(アンケート用紙発送)~7月13日(金)(回答期限)
5.回収状況
265社のうち134社から回答(有効回答率51%)
6.調査結果のポイント
主な調査結果のポイントは次の通りです。

Ⅰ.海外安全対策につい

(1)海外安全対策の組織・体制について

イ)日本側(本社等)における組織・体制について
 「すでに常設の専任組織があるか、専任担当者を配置している」企業が31社(23%)、「常設の組織はないが、兼任の担当者を配置している」企業が72社(53%)となっている。両方を合わせると103社(76%)になる。
 一方、「常設の組織もないし、担当者もいないが、緊急時に対応できる危機管理チームだけは編成している」企業が11社(8%)。「組織や担当者を配置していないし、危機管理チームもない」企業が19社(15%)。そのうち8社(6%)は危機管理チーム等を検討中であり、9社(7%)は特に計画なし。

 前述のように、「日本側(本社等)に常設の専任組織があるか、専任担当者を配置している」企業は回答企業134社中31社(23%)である。過去の調査結果によれば、1999年が23%、2001年が19%と減少になったが、2003年25%、前回の2005年調査で26%と1999年のレベルに戻った。今回は微減したものの、この傾向は持続している。専任組織が増えた理由として9・11テロ以降の各地でのテロやSARSのような感染症対応の影響が大きかったのではないかと思われる。
 また、「専任組織はないが、兼任の担当者を配置している」企業数が72社(53%)を数え、2003年71社(49%)、前回2005年調査の84社(57%)と同じ傾向を持続している。しかし、「組織や担当者を配置していないし、危機管理チームもない」企業数が19社(15%)と2003年の調査結果11社(7%)、前回2005年調査10社(7%)から増加している。
本社サイドの組織・体制について
ロ)海外拠点における組織・体制について
 「すでに常設の専任組織がある」企業が2社(2%)、「常設の組織はないが、担当者(兼務でも可)を配置している」企業が62社(46%)となっている。両方を合わせると、64社(48%)になる。
 一方、「常設の組織もないし、担当者もいないが、緊急時に対応できる危機管理チームだけは編成している」企業が28社(21%)。「組織や担当者を配置していないし、危機管理チームもない」企業が36社(27%)。そのうち8社(6%)は危機管理チーム等を検討中であり、20社(15%)は特に計画なし。

 前述のように、「海外拠点に常設の専任組織がある」企業は2社(2%)である。過去の調査結果によれば、1999年が6社(3%)、2001年が11社(7%)、2003年が11社(8%)、前回2005年調査が9社(6%)と増加傾向にあったが、今回は低下した。また、「常設の組織はないが、担当者を配置している」は今回調査で62社(46%)である。1999年が9社(5%)、2001年が65社(39%)、2003年が73社(50%)、前回の2005年調査が80社(55%)と増加傾向にあったが、今回は減少した。
ハ)海外安全対策の組織、あるいは担当者を配置している主な理由
 海外安全対策の組織、あるいは担当者を配置している125社(計画なしの9社を除く)の主な理由は「緊急時に迅速、適切に対応するため」が97社(78%)、「被害の未然防止(予防対策)のため」が59社(47%)等である。
 一方、海外安全対策の組織、あるいは担当者を配置していないし、今後も計画がない9社の主な理由としては、「特に準備がなくても、緊急時には本社および海外拠点で対応できると思うので」が4社(44%)である。

(2)海外安全対策マニュアルの整備状況について

海外安全対策マニュアルの整備状況を見てみると、「本社・拠点ともに整備している」企業が40社(30%)、「本社に整備している」企業が37社(27%)、「海外拠点に整備している」企業が4社(3%)となっている。「作成または計画中である」企業が25社(19%)で、全部を合わせると106社(79%)になる。   一方、「整備していない」企業は24社(18%)である。

前述のように、「マニュアルを本社・拠点に整備している」企業は40社(30%)である。 過去の調査結果によれば、1999年が91社(51%)、2001年が58社(35%)、2003年が71社(48%)、前回2005年調査67社(46%)から低下した。
  また、「マニュアルを整備していない」企業は今回調査で24社(18%)である。過去の調査結果によれば、1999年が29社(16%)、2001年が39社(24%)、2003年が22社(15%)、前回調査2005年21社(14%)とほぼ横這いとなった。

マニュアルの整備状況

マニュアルを整備しているや作成または計画中である106社の主な理由としては、「緊急時に迅速、適切に対応するため」が88社(83%)、「被害の未然防止(予防対策)のため」が77社(73%)などである。
 逆に、整備していない24社の理由としては、「具体的な作成のノウハウがないから」が11社(46%)「経費、人手等の余裕がないから」が10社(42%)等である。

(3)海外安全情報について

海外安全情報の入手先を多い順に挙げると、「外務省(含 官民協)」が119社(89%)、「日本在外企業協会」が110社(82%)、「自社の海外事業所等」が97社(72%)、となっている。そのほか、「現地の日本大使館(領事館)、日本商工会議所、日本人会等」が85社(63%)、「(内外の)セキュリティ・コンサルタント会社」が77社(57%)、「(内外の)新聞・通信社等のマスコミ関係」が68社(51%)と続く。

(4)派遣前海外安全対策研修について

派遣前の海外安全対策研修の実施状況は、「派遣者本人のみ」を対象にしたものが36社(27%)、「派遣者および夫人」が43社(32%)、「希望があれば実施する」が12社(9%)となっている。全部を合わせると91社(68%)になる。このほか、「資料あるいはビデオテープを配布している」企業が6社(4%)ある。
 一方、「やっていない」企業は27社(20%)となっている。

海外安全対策研修の実施

(5)海外安全に関して特に重点を置く項目について

「海外安全情報の収集と分析」が64社(48%)、「海外安全意識の高揚策」が38社(28%)、「海外出張者管理」が38社(28%)、「海外安全対策の組織・体制の構築」が38社(28%)、「海外安全マニュアルの作成・見直し」が36社(27%)となっている。

(6)「自由記述」から

海外安全に関する問題点や悩み・不満等
  • 健康管理に対する情報が不足、あるいは入手困難。(商業)
  • 事件発生時の報道は情報が限られていて、かつ遅い。(サービス)
  • 情報収集先が限られている。(繊維)
  • 海外駐在員の安全に対する意識がまだ低い。赴任前研修での安全講義はおこなっているが、赴任前の多忙な時期におこなう研修では限界がある。安全意識の高揚が長年にわたる悩みである。(輸送用機器)(電気機器)
  • 海外勤務者向け対応をおこなう人員が少なく、海外安全対策まで手がまわらない状況である。(機械)(電気機器)
  • 治安が特に悪い国・地域での安全対策(例:南アフリカ、ブラジルなど)。安全渡航情報の迅速な共有化と意識付け。(ゴム製品)
  • 予算、例えば防弾車への改造費用がおりない。(精密機器)
  • 具体的に何から始めてよいのか分からない。(輸送用機器)
  • 担当者を育成する段階的システムの不備。(商業)
  • 法人間、各個人間の考え方(危機感)に温度差(格差)がある。(化学)
  • 法人所在地毎に状況は様々であり、また、現地状況も十分に把握しているとはいえない中で、本社サイドでどこまでコントロールするのか線引きは難しい。担当者は兼任のため、異動などによるノウハウの共有、継続、レベルの維持に苦慮。(電気機器)
  • リスクマネジメントが事業部、あるいは海外工場、海外事業所単位で分散しているため、会社全体としての動きがなかなかとれない。(その他製造)
  • 兼任であるために、安全以外の日常業務に流されてしまう。専任者を配置した組織体制の構築が必要だと感じている。(窯業)
  • 海外安全対策についての常設組織がなく、総務担当者が兼任しているため、専門的な情報収集ならびにリスクの分析が十分とはいえない。(電気機器)
  • 平常時、緊急時の危機管理組織・体制の構築。(その他製造)(電力・ガス)
  • 緊急時の対応計画が不十分。(建設)
  • 事件・事故発生時の対応について、普段は意識することもなく訓練もしておらず、いざという時に迅速な対応ができるかどうか不安がある。(電気機器)
  • 社内で情報ルートが一元化されていない。緊急時体制が不明確、周知されていない。(商業)
  • 事故、事件発生時、どの程度、どの時点で渡航の可否判断をするのかの判断に迷うことがある。例えば、最近の英国の空港テロ、業務出張者を予定通り行かせるかどうか。(化学)
  • 海外でテロ等が発生した場合、出張規制をかけることが多いが、解除時期の見極めが難しい。(鉄鋼)
  • 危険地域・事象がますます増加傾向にある。(建設)
  • ①海外、国内の境界がなくなりつつあるように感じる。例えば感染症(新型インフルエンザ)が良い例としてあげられるし、食品、食材の安全も話題に事欠かない。更には交通安全もある。②「安全」の言葉だけでは片づけられず、最近は「安心」「健康」の範ちゅうまで仕事の比重が移ってきている。(電気機器)
  • 言語の違いによる現地のコミュニケーション不足。危機対応シナリオの評価およびブラッシュアップの定着化。(食品)
  • 海外出張者への感染症対策(予防接種)を国別にどんなレベルまでおこなうかが判断しにくい。(輸送用機器)
  • 現地セキュリティサーベイの促進。(商業)
  • 完全な海外安全対策はあり得ないことから、どの程度の対応が必要か、その見極めにいつも苦労している。(機械)
  • 幸い、本社総務部に連絡が入る海外での事件、事故はまれ(年数回)であるが、海外の情報は多岐、多数となり、問題点の絞り込みや整理が大変である。最終的な解決は現地当事者となり、日本国内では、あまり助言などができない。(サービス)
日外協・海外安全センターへの意見・要望・提案等
  • 各種講演会やセミナー、機関誌、グループ研究会等を通じて、海外安全についての最新情報や貴重な情報をご提供いただき、大変感謝している。今後とも大いに活用させていただきたい。(電気機器)
  • 関西地区、中部地区でのセミナーや講演会などの回数を増やして欲しい。(機械)(化学)
  • 駐在員のメンタルヘルスの主原因として現地上司によるパワハラがあるが、企業は見て見ぬふりをしているのか情報が入ってこない。この問題を大きく扱って欲しい。(精密機器)
  • 安全意識を高めさせる事例、ニュース等を提供していただきたい。(商業)
  • 海外安全担当者は当社だけでなく他社も人数が少ないと思う。このため、今後とも日外協を通じて、他社の海外安全担当者と交流していきたい。(輸送用機器)
  • 担当者を育成する教育システムの開発。(商業)
  • ホームページを見やすいものにしていただきたい。(繊維)
  • 欧米企業の安全対策について情報、セミナーなどを開催して欲しい。(商業)
  • 適時、適切なセミナーの開催。(商業)(建設)
  • 最近は重大事件が少なく、大規模な対応が必要ないことは喜ばしい反面、万が一何かが起こった時の対応には不安がある。「SARS」「インドネシア騒乱」の対応について今一度思い出すことも重要かと思う。(機械)

Ⅱ.新型インフルエンザ対策について

(1)新型インフルエンザに対する行動計画について

「本社、現地法人(1ヵ所であっても可)ともに作成済み」企業が21社(15%)、「本社のみ作成済み」企業が14社(10%)、「現地法人(1ヵ所であっても可)のみ作成済み」企業が2社(2%)となっている。合わせると37社(27%)がすでに対策済みになる。作成中が20社(15%)、検討中が45社(33%)となっている。
 一方、作成予定のない企業は28社(21%)となっている。

行動計画の作成状況

行動計画の内容としては「手洗い、うがい、咳エチケットの励行」が45社(79%)、「マニュアルの作成」が43社(75%)、「海外派遣者・家族の退避への対応」が41社(72%)と高く、ついで「海外出張者への対応」が37社(65%)、「タミフル等の治療薬や予防薬の備蓄・処方」が29社(51%)、「防護品や日用品の備蓄」が29社(51%)となっている。

(2)新型インフルエンザ流行時の国外退避計画について

「海外派遣者、家族ともに全員退避させる」企業が10社(7%)、「海外派遣者の一部と家族を退避させる」企業が30社(22%)、「家族のみ退避させる」企業が2社(1%)、「本人の希望による」企業が3社(2%)となっている。合わせると45社(32%)となっている。
 一方、全員残留させる企業は0社となっている。「状況に応じて対応する」企業が大半の80社(60%)となっている。
 日本への退避者の10日間の待機については、「自宅で待機させる」企業が43社(32%)、「ホテルやウィークリーマンション等で待機させる」企業が22社(16%)、「会社の寮や保養所で待機させる」が13社(10%)となっている。
 一方、待機させない企業は1社(1%)ある。検討中が23社(17%)、「状況に応じて対応する」が62社(46%)となっている。

(3)「自由記述」から

日本政府ならびに関係諸機関への要望や意見等
  • 「フェーズ4の直前」の定義とその根拠等についてご指導いただきたい。(電気機器)
  • フェーズ4になる前の(移動制限発令)速やかな情報提供を望む。(その他製造)
  • 出来る限り早い段階で詳細な情報提供をお願いしたい。(海運)
  • 既に対応していただいていることであるが、国の方針、情報等正確、かつタイムリーにご提供をお願いしたい。(輸送用機器)
  • 迅速かつ正確な情報提供をより積極的にすすめていただきたい。(化学)
  • E-Mailで配信されるような仕組みを作っていただきたい。(輸送用機器)
  • WHOからの信頼性ある情報および分析結果の素早い公表を望む。(商業)
  • 新型インフルエンザについて、政府から国民1人1人に対する情報提供のアプローチがもう少し必要であるように思う。(電気機器)
  • 新型インフルエンザ対策に関するポスターやリーフレットを自治体、企業、学校等を通じて配布していただくことで予防対策についての啓発をお願いしたい。(電気機器)
  • 帰国が必ずしも最良の対策とも限らないので、帰国するべきか、留まるべきか政府から指示を出して欲しい。駐在員が羅患していて帰国し、国内にインフルエンザを広めるのはさけたい。(精密機器)
  • 充分良くやっていただいていると思う。(建設)
  • 医療後進国の場合、緊急時の在外公館(在勤医官)の在留邦人に対する積極的なオープン活用を図ることを望む。(化学)
  • 新型インフルエンザ感染地域からの帰国者に対し自宅待機を要請された場合、自宅のない駐在員および家族については、うまい解決策が思いつかない。自宅以外の待機先を国としても用意していただきたい。(輸送用機器)
  • 海外在留邦人に対する日本政府の有事の対応について方針が不明確であり、“何もできない”ことも含め方針を明示すべきである。(窯業)
  • 実際に新型インフルエンザが発生した場合、本当はどのような対応になるのか正直に教えて欲しい。(海運)
  • 先進的な取り組みをしている企業の講演会などを開催していただきたい。(繊維)
  • 海外での院内感染のリスクが高いと聞いているので、そのあたりの対応策についてアドバイスをお願いしたい。(輸送用機器)
  • タミフルの有効性と危険性についての情報開示をもっとすすめて欲しい。(輸送用機器)
  • タミフル以外の有効な対処方法等の情報が欲しい(副作用のない)。各地にある在外公館より現地の日本企業へ適宜有益な情報を伝えて欲しい。(金融・保険)
  • 新型インフルエンザは、どのような形で起こるのか全く不明であり、あまり固定的にマニュアルを作成するより、様々なケースについて日頃より検討し、頭の体操をしつつ、実際に起こった際には、しかるべく処置をとるように連絡体制や意思決定手段を考えておくべきかと考える。(機械)
  • ガイドライン等が作成されているが、現実的なものであるか、再度見直しや検証をしていただきたい。(サービス)

本件に関する問合せ先

社団法人 日本在外企業協会
東京都中央区京橋3-13-10 中島ゴールドビル7階 〒104-0031
常務理事兼海外安全センター長・矢野冬生、海外安全センター主幹・上田憲貞
TEL:03-3567-9271

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