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「海外安全対策」に関するアンケート
調査結果(2005年)

海外安全センターが、実施した標記アンケート調査の集計結果がまとまりましたので下記の通りお知らせします。

1.調査の趣旨
9・11テロ以降も、イラク戦争、SARS禍、スマトラ沖地震と大津波など重大事件・事象が連続して発生しています。最近ではロンドンやエジプト・シャルムエルシェイクで同時爆破テロも発生しました。一方、邦人を巻き込んだ一般犯罪も後を絶ちません。海外でのこうした厳しい治安情勢に鑑み、当協会・海外安全センターでは企業に対する啓発活動や情報提供に役立てることを目的に、企業の海外安全対策に関する実態調査をおこないました。この調査は、2年毎に定点観測的に実施しているものです。
2.調査方法
当協会会員企業329社(2005.4.1現在)のうち団体、研究機関等の賛助会員を除く272社の海外安全情報窓口に対し、郵送によりアンケート調査票を配布した。各企業からはファクシミリによる回答をお願いした。
3.回答記入者
上記企業の海外安全主務担当者
4.調査期間
2005年6月17日(金)(アンケート用紙発送)~7月8日(金)(回答期限)
5.回収状況
272社のうち147社から回答(有効回答率54%)
6.調査結果のポイント
主な調査結果のポイントは次の通り。

(1)海外安全対策の組織・体制について

イ)日本側(本社等)における組織・体制について
「すでに常設の専任組織があるか、専任担当者を配置している」企業が38社(26%)、「常設の組織はないが、兼任の担当者を配置している」企業が84社(57%)となっている。両方を合わせると122社(83%)になる。
一方、「常設の組織もないし、担当者もいないが、緊急時に対応できる危機管理チームだけは編成している」企業が14社(9%)。「組織や担当者を配置していないし、危機管理チームもない」企業が10社(7%)。そのうち5社(3%)は危機管理チーム等を検討中であり、4社(3%)は特に計画なし。
前述のように、「日本側(本社等)に常設の専任組織があるか、専任担当者を配置している」企業は回答企業147社中38社(26%)である。過去の調査結果によれば、1992年5月が18%、1994年11月が21%、1999年9月が23%と増加傾向であったが、2001年6月調査で19%と減少になった。前回2003年の調査で25%と1999年のレベルに戻った結果になるが、今回はこの傾向が持続している。専任組織が増えた理由として9・11テロ以降の各地でのテロやSARSのような感染症対応の影響が大きかったのではないかと思われる。
また、「専任組織はないが、兼任の担当者を配置している」企業数が84社(57%)を数え、2003年の調査結果の71社(49%)に比べ増加している。「組織や担当者を配置していないし、危機管理チームもない」企業数が10社(7%)と2003年の調査結果11社(7%)と横這いになっている。
ロ)海外拠点における組織・体制について
「すでに常設の専任組織がある」企業が9社(6%)、「常設の組織はないが、担当者(兼務でも可)を配置している」企業が80社(55%)となっている。両方を合わせると、89社(61%)になる。
一方、「常設の組織もないし、担当者もいないが、緊急時に対応できる危機管理チームだけは編成している」企業が26社(18%)。「組織や担当者を配置していないし、危機管理チームもない」企業が27社(18%)。そのうち15社(10%)は危機管理チーム等を検討中であり、9社(6%)は特に計画なし。
前述のように、「海外拠点に常設の専任組織がある」企業は9社(6%)である。過去の調査結果によれば、1999年が6社(3%)、2001年が11社 (7%)、2003年が11社(8%)と増加傾向にあったが微減した。また、「常設の組織はないが、担当者を配置している」は今回調査で80社(55%) である。1999年が9社(5%)、2001年が65社(39%)、2003年が73社(50%)と増加傾向にある。担当者の配置が増えた理由として前述したように9・11テロ以降の各地でのテロやSARSなどの感染症の影響が大きかったのではないかと思われる。
ハ) 海外安全対策の組織、あるいは担当者を配置している主な理由
海外安全対策の組織、あるいは担当者を配置している143社(計画なしの4社を除く)の主な理由は「緊急時に迅速、適切に対応するため」が114社(80%)、「被害の未然防止(予防対策)のため」が83社(58%)等である。
一方、海外安全対策の組織、あるいは担当者を配置していないし、今後も計画がない4社の主な理由としては、「特に準備がなくても、緊急時には本社および海外拠点で対応できると思うので」が2社(50%)である。

(2)海外安全対策マニュアルの整備状況について

海外安全対策マニュアルの整備状況を見てみると、「本社・拠点ともに整備している」企業が67社(46%)、「本社に整備している」企業が33社 (22%)、「海外拠点に整備している」企業が3社(2%)となっている。「作成または計画中である」企業が23社(16%)で、全部を合わせると126 社(86%)になる。

一方、「整備していない」企業は21社(14%)である。

前述のように、「マニュアルを本社・拠点に整備している」企業は67社(46%)である。過去の調査結果によれば、1999年が91社(51%)、 2001年が58社(35%)、2003年が71社(48%)で前回に比べ微減となった。また、「マニュアルを整備していない」も今回調査で21社 (14%)である。これも同様に1999年が29社(16%)、2001年が39社(24%)、2003年が22社(15%)と横這いとなった。

マニュアルの整備状況

マニュアルを整備しているや作成または計画中である126社の主な理由としては、「緊急時に迅速、適切に対応するため」が111社(88%)、「被害の未然防止(予防対策)のため」が94社(75%)などである。

逆に、整備していない21社の理由としては、「経費、人手等の余裕がないから」が8社、(38%)「具体的な作成のノウハウがないから」が8社(38%)等である。

(3)海外安全情報について

海外安全情報の入手先を多い順に挙げると、「外務省(含海安協)」が137社(93%)、「自社の海外事業所等」が116社(79%)、「日本在外企業協会」が106社(72%)、となっている。そのほか、「現地の日本大使館(領事館)、日本商工会議所、日本人会等」が89社(61%)、「(内外の)新聞・通信社等のマスコミ関係」が87社(59%)、「(内外の)セキュリティ・コンサルタント」が75社(51%)と続く。

(4)派遣前海外安全対策研修について

派遣前の海外安全対策研修の実施状況は、「派遣者本人のみ」を対象にしたものが51社(35%)、「派遣者および夫人」が32社(22%)、「希望があれば実施する」が8社(5%)となっている。全部を合わせると91社(62%)になる。このほか、「資料あるいはビデオテープを配布している」企業が13社 (9%)ある。

一方、「やっていない」企業は29社(20%)となっている。

海外安全対策研修の実施

(5)海外安全の今後の重点項目について

今回初めて調査した項目であるが、「海外安全マニュアルの作成・見直し」が68社(46%)、「海外安全情報の収集と分析」が64社(44%)、海外出張者管理が60社(41%)、「海外安全対策の組織・体制の構築」が58社(40%)、「海外セキュリティ・マネジメント」が52社(35%)となっている。

(6)「自由記述」から

海外安全に関する問題点や悩み・不満等
  • 海外赴任前研修の内容の充実を図る必要があると感じている。(化学)
  • 社員の意識レベルの低さ。教育方法。(その他製造)
  • 従業員の危機管理意識の低下。転勤、出張等で慣れてくると意識からずれる者が多い。(電気機器)
  • 日本での情報(テレビ、新聞報道)と現地情勢との間にギャップがある。報道の方がいつも過剰であり、日本から適切な指示が出せない。例、中国SARS問題、中国反日デモ。(化学)
  • 海外での非常事態発生時、マスコミの取り上げ方と現地からの情報にギャップを感じることがしばしばある。(非鉄金属)
  • 昨年中国で鳥インフルエンザの問題が起こった時、報道等日本で入手する情報がかなり加熱する一方、現地駐在員の受け止め方は冷静であり、本社として、その温度差に戸惑いを感じた。結果としては、やはり現地の判断が正しかったように思うが、特にセンセーショナルに傾きがちな報道があふれる中で、正しい判断をすることは非常に難しいと感じた。(電気機器)
  • SARSなど日本と現地で報道に温度差があり、どこまで対策をとるべきか苦慮することがある。(化学)
  • 社内がマスコミの過度に誇張された報道(例:中国反日行動)に影響されやすく、対応活動に支障がでることがある。(電力・ガス)
  • 海外安全に関するアセスメントの仕組みが事業計画と連動した形で取り込まれていない。(食品)
  • 有事のたびにプロジェクトチームを編成して対応している。専任担当者や常設の組織がないため対応が遅れる(化学)
  • 海外安全対策の体制がしっかりしていないため、海外で誘拐やテロ等発生しても組織だった迅速な対応がとれるかどうか不安。(輸送用機器)
  • グループを統括する専門部署がない。(鉄鋼)
  • 企業として、どこまで予防対策・緊急対応をするべきか、いつも悩みながら対応している。特に社員の国籍などが多様化する中で。(外国籍、外国人、第3国異動)(輸送用機器)
  • どの程度の安全対策を実施する必要があるのかが、不明確なために常に中途半端な状態のような気がする。(商業)
  • どの程度まで予防措置をするべきかの判断、決定、基準が明確にないので、海外派遣者からの要望に対してどう対応するかでよく悩む。“安全の為”と言われれば“不要だろう”とは言えないので、費用がかかることが多い。会社としてどこまでやるかで悩む。(化学)
  • 出張者の管理、危機管理マニュアルの作成。(建設)
  • 最近はメンタル面で不安定な出向者が増加しつつあり、個別対応の件数が増えている。(化学)
  • この世界、日本人の国民性として不得意の分野故なかなか専門家が育たない。その結果として“対症療法型”(予防ではなくその場しのぎの対応)になってしまう。(建設)
  • 社員の安全に対する意識の高揚。安全対策のツールを整えることに合わせ、そのツールを使うという意識を持たせることに苦労している。(電気機器)
  • 海外勤務者は日常業務で多忙のため、安全・危機管理の重要性は理解していても、事前準備となると現実的に時間がさけない現状である。(機械)
  • 海外拠点との実地訓練(演習)がなかなか実現できない。(金融・保険)
  • リスクに関する訓練のようなものを実施したいと考えているが、具体的にどのように進めたらよいのか悩んでいる。(陸運)
  • 非常時の海外拠点操業停止、出国勧告をどのタイミング、権限、判断基準で行うべきか明確にできていない。(電気機器)
  • 出張該当地域の安全レベル設定の難しさ。特に出張規制を設定する決定要素が何かの判断で悩む。(商業)
  • 危機管理を高めるには費用がかかり、どこでバランスを取るかが難しい。(機械)
  • 経費が少なく、なかなか安全管理面の充実ができていない。(金融・保険)
  • 弊社における海外安全対策担当者は他業務と兼任であるので日常業務に流されることが問題となっている。(鉱業)
  • 海外安全対策の重要性は認識しつつも専任を置かず兼任の担当者を配置しているが、マニュアル、規定、その他の資料をどのようなタイミングで、どのような点を見直すべきか悩んでいる。(電力・ガス)
日外協・海外安全センターへの意見・要望・提案等
  • いつも大変勉強になるセミナー、講演会を企画して頂き、感謝している。今後とも質の高いセミナー、講演会の開催をよろしくお願いしたい。(食品)
  • よくやっていただいている。特に企業同士の横のつながりを仕掛けたグループ研究会の試みはすばらしいと思う。(建設)
  • タイムリーな危機管理情報あるいはセミナーを開催して頂くと良い(商業)
  • 各セミナー、講演会でもっと各社の具体的な取り組みを紹介して欲しい。(商業)
  • 人の命は最も大切なものであることに間違いないが、さらに範囲を拡大して“企業のリスクマネジメント”全体のレベルアップに取り組む時ではないか。(電気機器)
  • 海外での「安全対策の考え方/理念」を啓蒙する活動を今後ともお願いしたい。(輸送用機器)
  • 中国騒乱等非常時に日外協HP上の掲示板で会員各社の対応を収集し、社名を伏せて公開するなどの即応性が欲しい。(電気機器)

本件に関する問合せ先

社団法人 日本在外企業協会
東京都中央区京橋3-13-10 中島ゴールドビル7階 〒104-0031
常務理事兼海外安全センター長・矢野冬生、海外安全センター主幹・上田憲貞
TEL:03-3567-9271

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