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「海外・帰国子女教育に関するアンケート」
調査結果(2005年)

業務部が実施した標記アンケート調査を実施し、このほど、その集計結果がまとまりましたので下記の通りお知らせいたします。

本調査は、1999年から隔年実施していますが、今回の特徴は「増加へ転じた海外子女と進む帯同子女の低年齢化」です。

1.調査の趣旨

会員企業の海外派遣社員数・家族帯同者数・海外子女数、海外・帰国子女教育相談の状況、および様々な問題点(日本人学校、補習授業校、現地校・インターナショナルスクール、帰国子女教育)などの把握を目的として1999年から隔年実施しているものです。

2.調査方法

当協会会員企業334社(2005.4.1現在)のうち団体、研究機関などの賛助会員を除く277社に対し調査票(PDF:12KB)を送付し、各企業からはファクシミリによる回答をお願いした。

3.回答記入者

上記企業の海外子女教育担当者

4.調査期間

2005年8月22日(月)(アンケート用紙発送)~9月30日(金)(回答期限)

5.回収状況

277社のうち149社から回答を得た(有効回答率54%)。

6.調査結果のポイント

主な調査結果のポイントは次の通り。

[1] 海外派遣の状況

(1)海外派遣者数・家族帯同者数・海外子女数

149社が回答(54%)。海外派遣者数は26,369人、家族帯同者数は13,479人(家族帯同比率51%)、海外子女数14,510人である。回答数、回答企業が前回と各々一致してはいないが、平均を比較すると、グラフ1のように、全体的に2003年の前回調査に比べて増加している。

海外派遣者数は、2003年の海外派遣者数減少傾向が2005年に増加に転じたことは、海外派遣者数の増減傾向についての回答集計からも分かる。増減傾向については、145社から回答があり、2年前と比べ、「増加」(28%→42%)、「横ばい」(46%→44%)、「減少」(26%→11%)と、「増加」が大幅に増え、「減少」が大幅に減っている。

海外子女数の増減傾向は、117社から回答があり、前回と比べ、「増加」(20%→24%)、「横ばい」(54%→67%)、「減少」(26%→9%)と、「増加」および「横ばい」が増え、「減少」が大きく減っているため、海外子女数も2003年頃の減少傾向がストップしたといえる。

グラフ1.海外派遣者・家族帯同者数・海外子女数(平均)(単位:人/会社) 会長鈴木正一郎写真

上記の傾向は、3回(2001年・2003年・2005年)連続してアンケート回答した企業(41社で今回回答企業の28%)の統計でも同様で、海外派遣者数は増え、家族帯同者数・海外子女数は微増である(グラフ2参照)。

グラフ2.海外派遣者数・家族帯同者数・海外子女数(3回連続回答企業)(単位:人) 会長鈴木正一郎写真

(2)地域別海外派遣者数 (グラフ3参照)

グラフ3.地域別派遣者数と構成比(単位:人、%) 会長鈴木正一郎写真

今回から、アジアは、中国とその他アジアに分けて調査したところ、147社から回答があり合計25,629人。特徴として、アジア全体が占める割合は 53%(内、中国が23%、その他アジアが30%)で、前回調査の49%よりも増加した(中国の増加の影響が大きいと思われる)。

(3)年代別海外派遣者数

140社から回答(人数としては22,996人で、海外派遣者数26,369人の9割弱)。内訳は、20代:1,124人(5%)、30代:7,896人(34%)、40代:8,629人(38%)、50代:5,068人(22%)、60歳以上:279人(1%)と、30代~40代が最も多い。

(4)海外子女の就学状況内訳(グラフ4参照)

123社から回答(回答149社の8割強で人数合計は12,146人)。未就園児、幼稚園児、小学生の合計は79%と前回の77%同様に大きな割合であり(うち未就園児(乳幼児)の割合は10%→20%と大幅増)、海外派遣者の低年齢化傾向の中で帯同子女の低年齢化も進んでいる。

グラフ4.海外子女の就学状況内訳会長鈴木正一郎写真

[2] 社員のための海外子女教育相談

(1)担当部門および相談員

担当部門の有無については、回答149社のうち、「有り」が47社(32%)、「無し」が102社(68%)。担当部門有り47社のうち、相談員「有り」は12社、「無し」は34社(無回答1社)。相談員有り12社のうち、常勤は6社、非常勤6社であった。

(2)アウトソーシング(外部委託)

142社(95%)が回答。アウトソーシング「している」は39社(26%)、「していない」は103社(69%)(無回答5%)。

担当部門がなくアウトソーシングもしていない企業は90社で、回答149社の60%に及んでいる。担当部門およびアウトソーシングなしの理由は、7つの選択肢に対する複数回答にしたところ、①必要に応じて外部機関を紹介(25%)、②家族帯同者がごく少数のため(20%)、③基本的には個人の問題と思うため(16.3%)、④情報提供はしているため(15.6%)、⑤人手・経費等に余裕がないため(13%)、⑥各部門で個別に対応している(6%)、⑦特に理由はない(4%)である。

[3] 海外子女教育に関する問題点

(1)日本人学校について

9つの選択肢に対する複数回答の集計は下記のとおり(回答の多い順。ほぼ回答全社から)。

①高校がない:15%、②幼稚園が少ない:15%、③学校数が少ない:14%、④授業料等が高い:12%、⑤安全対策が不十分(SARS、テロ関連他): 10%、⑥遠距離通学・親への送迎の負担が重い:9.1%、⑦教員の指導方法・授業レベル:8.7%、⑧企業の寄付金負担が重い:8%、⑨学校の少人数化によるレベルの低下:8%

高校設立の要望は、引き続き多い。幼稚園増加の要望は、海外派遣者の低年齢化傾向による乳幼児および幼稚園児数の多さ(海外子女数の4割)から生まれてきていると思われる。

自由記述としては、「NYの日本人学校は、生徒数減少により売却の話も出ており不安」、「人数が多く、ウェイティング状態(上海)」、「日本人学校が無いため、家族帯同ができないケースが増えている」、「日本人学校の無い地域とのバランスをどう図るか(教育費補助のあり方)」、「カリキュラムについて、現地言語、国際理解、英語学習等にもっとウェイトを置くべきである」等が寄せられた。

(2)補習授業校

①現地校等との両立困難。勉強量の負担大:17%、②学校数が少ない:15%、③教員の確保:12%、④学校の少人数によるレベルの低下:10.9%、⑤ 遠距離通学・親への送迎の負担が重い:10.6%、⑥授業料等が高い:10%、⑦安全対策が不十分:10%、⑧高校が少ない:8%、⑨企業の寄付金負担が重い:6%

子女にとって、言語習得の問題もあり、上記①現地校・インターナショナルスクール(インター校)との両立が大きな問題になっている。②は、補習授業校はアジアに少ないことも原因と思われる。③および④は、前回調査同様に多く寄せられた。

自由記述では、「海外子女教育振興財団の通信教育も実施しており現地校での学習もあわせ教育過多になっているケースが多い」、「日本語での補習授業校が無い地域があり通常の教育を受けることが困難な地域がある」、「学習教科が少ない」、「補習授業校については、語学補習に関してのみ補助を支給しているが、語学補習なのか日本でいう塾なのかが判然としない場合があり、補助の支給に悩むことがある」等。

(3)現地校・インターナショナルスクール(インター校)

①授業料等が高い:21.3%、②日本の教育との違いによる帰国後の不安:20.7%、③日本語の習得が困難:11%、④学校の情報を海外赴任前に入手したい:8.8%、⑤企業の補助・負担額が重い:8.6%、⑥授業についていくために家庭教師等が必要:8%、⑦安全対策が不十分:8%、⑧現地にインター校等が無く単身赴任になる:6%、⑨ESL教師がいない等により入学が難しい:5%

上記①は、前回調査同様に最も多く、⑤とも関連する。②は、③と関連して最近大きくなっている不安である。⑧は、具体的な国名・都市名として、「中国(福州、東莞市、アモイ、蘇州)、韓国(亀尾、Junbuk)、フランス(アンセニ)、イタリア(コゼンツア)など。

自由記述は、「会社負担額にも上限があるため、個人の負担が重くなってしまう点」、「非 英語圏で日本人学校が無い地域の場合、インター校へ通うケースが多いが、教育費負担割合が高くなってしまう(特別補助が必要)」、「中国現地校の場合、高校課程を修了しても統一テストを受験することができず、そのため帰国子女枠受験の資格が認められない場合がある。反面、英語系のインター校については入学が難しく、高学齢の子女の帯同を阻害する要因となっている」、「学校と保護者の正確な意思疎通が困難で特に母親に負担」、「いつ帰国となるか分からず、日本人学校へ通うべきか、インター校/現地校へ通うべきか迷う」など、様々なコメントをいただいた。

[4] 帰国子女教育に関する問題点

①入学・編入試験実施時期に柔軟に対処してほしい:17%、②受験資格認定に柔軟に対処してほしい:12%、③受験資格を満たす等のために子女が現地残留する問題:10.8%、④編入受入の少なさ:10.6%、⑤受入校の情報不足:9.8%、⑥地方都市の学校の受入の少なさ:9.8%、⑦受入人数・受入校の少なさ:9%、⑧国内適応教育(日本語特別指導等)が不十分:9%、⑨カウンセリング機関が不十分(精神面のケア):8%、⑩全寮制学校数の少なさ: 3%等。

受入体制に関して、①、②、④は、前回も多くの要望が寄せられた。③は、帰任時期が企業および赴任家族の大きな悩みであることを示している。

なお、帰国子女の従業員の有無は、「いる」:89社(60%)、「いない」:9社(6%)、「分 からない」:47社(32%)、無回答:2社(2%)で、「いる」の人数は、数人~数百人の範囲である。

また、帰国子女の積極的採用については、「したい」:16社(11%)、「したくない」1社(1%)、「どちらでもない」124社(83%)、無回答:8 社(5%)。積極的採用したい理由は、「英語レベル、グローバルな感覚」、「語学に堪能なため」、「多様な人材の採用のため」、「海外業務が多いため」、「グローバル化への対応」、「現地文化に対する理解がある。現地で通用する語学力があるから」等のコメントをいただいた。

[5] 自由回答欄

(1)海外・帰国子女教育に関する悩み、不満

上記[3]・[4]の問題点を補足するために、下記に内容別に分類する。

会社費用負担(規定)のあり方について
「海外子女教育手当として会社が負担すべき金額の多寡」他12件
帰国子女受入体制について
「インター校の日本での認定」および「自治体の受入体制の統一」他8件
情報提供について
「中学などの現地校に編入難の場合のインター校情報」他6件
日本語教育について
「欧米でインター校等に通学すると、日本語能力の不足等により、帰国後、日本になじめない子女が出る」他4件
会社赴任の時期と学期等の不一致について 3件
いじめの不安、不登校等への対応
「不登校などトラブル発生時の対応の難しさ」他2件
日本の国際教育の充実について
「国内の受入実態や実績からみて、帰国子女をあたたかく受け入れ、はげます児童・生徒がまだ少ないように感じる」他1件
授業料の高さ
「現地日系幼稚園の学費は、企業負担としてカバー出来ていない高額な状況」他1件
その他
「現地校に通学しながら通信教育を受講していたが、教材に魅力がない。教材を工夫するとともに、親に対するカウンセリングも充実すべき」

(2)日外協の海外子女教育部会で取り上げてほしい話題

「教育費補助・規定のあり方(地域間ギャップをどう埋めるか等)」:6件、「国内、海外にあるインター校の紹介」等の情報について:6件、「公立高校の受入枠増加に関する教育委員会へのはたらきかけ」等の受入制度・体制の充実:4件、「幼児帯同が多くなっているので幼稚園の増設検討が望まれる」等の日本人学校増設:3件、「子女のメンタルケアについて」等:3件、「教育ニーズの多様化への対応方法(一般的な幼稚園、小中学校とは?)」等:2件、「保護者に対する日本語力についての認識の持ち方、子女の適応力の問題、および日本語教育の重要性について」2件等をいただいた。

当協会では、このような貴重なご意見をもとに、今後も講演会セミナー・研修啓発活動等を積極的に推進していきたい。

本件に関する問合せ先

社団法人 日本在外企業協会
東京都中央区京橋3-13-10 中島ゴールドビル7階 〒104-0031
業務部主幹・小野重伸
TEL:03-3567-9271
FAX:03-3564-6836

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